下田栄子先生

2017年9月4日、師である下田栄子先生が亡くなりました。84歳でした。
先日無事に告別式が終わりました。

先生が亡くなられて1週間。
昨日からコンクールのお稽古も再開しましたが、お稽古場の様々なものに栄子先生との思い出が溢れ、寂しさが募るばかりです。

栄子先生にはじめてお会いしたのは、私が12歳の頃でした。当時、スタジオにはコンクールで上位入賞をされている方がたくさんおり、多くの刺激を頂ける環境でした。
熱の入ったお稽古の際、背中に先生の手形がついたこともありました。
階段を降りてくる音にビクビクしたこともありました。
常に全力で生徒と向き合い、踊りに関するたくさんのことを魂を込めて教えてくださいました。どんな子も見捨てず、良いところを見つけ、伸ばしてくださる。栄子先生のご指導は、厳しいけれど、常に愛情深い暖かいものでした。
いつしか私も自分で作品を作るようになり、舞台に立つ前には先生に必ず作品を見て頂いておりました。本当にはっとするようなアドバイスをくださったり、踊りを見る鋭い感覚、新たな発見に感動するばかりでした。
栄子先生は、教えることは教わること、という言葉をよくおっしゃっていました。
いま、私も教える立場になり、あの頃の先生の気持ちがわかるようになってきました。
私自身まだまだ未熟で、教えることの難しさ、コンクールの厳しさを実感し、どんな子にも魔法をかけて下さった栄子先生の偉大さを痛感する日々です。
まだまだたくさんのことを教えて頂きたかったです。
これからもたくさん踊りを見て頂きたかったです。

今の私があるのは、すべて栄子先生のお陰です。先生に出会えたことで、踊りの道を今日まで進み続けることができました。

黒沢先生も、美香先生も、栄子先生もいらっしゃらない綱島のお稽古場は、なんだか違う場所のように感じてしまうのが今の正直な気持ちではありますが、先生方の温かい気配に見守られながらこれからも踊り続けていきたいと思います。
先生に教えて頂いたことを胸に、黒沢、下田流の踊る心を、遺された私たちが受け継いでいけたらと思います。今後も精進し、栄子先生に喜んで頂けるよう頑張ります。